148 様々なタイプの男性

藤丸詩織が起きて階段を降りると、ソファーで携帯を怒って見つめている橘譲の姿が目に入った。

詩織は近寄って、不思議そうに尋ねた。「お兄さん、朝からどうしたの?誰かに怒らせられたの?私が仕返しを手伝おうか?」

橘譲は心配そうに詩織を見つめ、怒りながら言った。「桜井蓮と水野月奈のクズカップルがトレンド入りしたんだ!」

詩織は興味深そうに「見せて」と言った。

詩織が携帯を覗き込むと、昨夜桜井蓮と水野月奈が撮られた写真だと分かった。

芸能ニュースには大きな写真が何枚も掲載されていた。桜井蓮が屈んで優しく水野月奈を見つめているもの、姫抱きしているもの、さらには水野月奈の手首を掴んでソファーに壁ドンしているものまであった。

しかし詩織は一目見ただけで違和感を覚え、理解すると思わず笑みがこぼれた。

橘譲は詩織が笑うのを見て呆然とし、困惑した様子で「詩織、写真を見て怒り狂って笑ってるの?そうじゃなきゃ、なんで笑うんだ?」と言った。

橘譲はそう考えると、ますます自分の推測が当たっていると確信し、さらに怒りを募らせた。急いでソファーの横のタブレットを手に取り、開いて詩織の前に差し出し、「詩織、桜井蓮みたいな男のために悩む価値なんてないよ。世の中にはまだまだ素晴らしい人がたくさんいる。例えばこのタブレットに載っている人たち。みんな兄さんが知っている人で、人柄は保証済み。それに優秀で、桜井蓮なんかより何倍も上だよ!」

詩織は説明する機会すら与えられず、橘譲に写真を見せられることになった。

橘譲は「詩織、この写真を見て。この人は医者で、世界のトップ大学を卒業して、今では十数個の病院を設立しているんだ。それからこの人を見て、この人は優秀な科学者で、学術研究に打ち込んでいて、専門分野での造詣が深くて、すでに発明したものが……」

わずか30分の間に、詩織は橘譲から百人以上の優秀な男性を紹介された。顔認識障害になりそうなほどで、これらの顔を見ていると目が霞んできた。

詩織は橘譲がさらに紹介を続けようとするのを見て、急いで遮った。「お兄さん、お兄さん!私は最近恋愛する予定なんてないし、それにどうやってこんなにたくさんの人の情報を集めたの?」