藤丸知佳がそう言い終わると、藤丸明彦に殴られる前に、足早に部屋を飛び出した。
竜崎美奈は慌てて声を上げた。「知佳!」
藤丸明彦は竜崎美奈が追いかけようとするのを見て、手を上げてドアを施錠し、冷たい声で言った。「お前が普段から甘やかすからこうなったんだ。今日は知佳を探しに行くな!」
藤丸明彦はそう言い放つと、寝室に入って扉を乱暴に閉め、ベッドに横たわってスマートフォンを取り出し、友人グループを開いた。
藤丸明彦が以前藤丸グループの社長だった頃は、一言で大勢が彼に近づいてきたものだが、かつて彼に取り入っていた人々は今では相手にもしなくなっていた。
友人グループには数人しか残っておらず、しかもその数人は何の取り柄もない、以前の藤丸明彦なら見向きもしなかった人々だった。今では彼よりも良い暮らしをしているため、これらの人々との付き合いを軽蔑しながらも、我慢するしかなかった。
藤丸明彦は今の自分にお金がなく、藤丸グループに全く溶け込めない状況を考えるたびに、藤丸詩織への憎しみが増していき、八つ裂きにしてやりたいほどだった。
藤丸明彦はグループチャットを見ながら、メッセージを送信した。
藤丸明彦:「手っ取り早く金を稼ぐ方法はないか?」
友人1:「藤丸さん、もちろん手っ取り早く金を稼ぐ方法はありますよ。ただし、それらの方法は全て違法です。」
藤丸明彦は眉をひそめ、素早く画面をタップした。
藤丸明彦:「法律なんてどうでもいい、今は金が必要なんだ!」
友人2:「藤丸さんがそう言うなら、兄弟として方法を教えましょう。最近、古い王室の墓があることを知りました。きっと中には宝物がたくさんあるはずです。その古い骨董品を売れば、お金になりますよ。」
友人3:「墓荒らしなんて怖すぎるでしょう?お金のためにそんなことをして、因果応報を恐れないんですか?」
藤丸明彦は「因果応報」という言葉を見て、軽蔑的に嘲笑した。
藤丸明彦:「この世で金がないことより怖いことはない。こんな金儲けの方法があるなら、準備して早く行動しよう!」
藤丸明彦は友人たちの墓荒らしの方法についての議論を見ながら、すでに頭の中で、墓荒らしが成功して骨董品を売り払い、大金を手に入れ、藤丸グループの株式を買い、最終的に藤丸詩織を追い出して路頭に迷わせる光景を想像していた。