トレンドの一位は桜井蓮で、その後ろには真っ赤な「爆」の文字が付いていた。
#桜井グループ社長の桜井蓮、この数年間で国内に十数カ所の孤児院を建設し、数億円を寄付!
「桜井社長は本当に優しい方ですね。この数年でこんなにも善行を積んでいたなんて。最近の出来事を考えると、桜井社長が可哀想でなりません。」
「そうですよね。イケメンで性格も良くて、これまで全然スキャンダルもなかったのに、水野月奈という女性は、こんな良い人を手に入れたのに感謝もせず、浮気までするなんて!」
「私が桜井社長の奥様になれたら、絶対に言うことを聞いて、毎日洗濯や料理をして、生活の面倒を見て、お義母様や義理の妹の世話もして、一切の心配をかけないのに。」
藤丸詩織はこれらの突拍子もないコメントを見ながら、深く考え込んでしまった。特に言うことを聞いて、お義母様や義理の妹の世話をするという部分について、なぜそこまで自分を追い込むのか理解できなかった。
これらのコメントの中には、水野月奈を支持する人もいた。
「月奈は浮気なんてしていません!これらの動画は全て桜井蓮と付き合う前のものです。皆さんには元カレがいないんですか?付き合っている時にそういうことをするのは何も問題ないでしょう?」
しかし、この人はすぐに批判され、もちろん月奈を擁護する人も何人かいた。
「ふん、水野月奈が誰かと付き合っていたならまだしも、実際はただバックドアから入るために監督を誘惑しただけでしょう。」
「確かに私たちにも元カレはいますけど、複数の元カレと同時というわけではありませんよね。それに、クラブにいた男性たちは、水野さんの元カレには見えませんでしたけど?」
「水野月奈は恥知らずよ、そうでなければあんな動画があるはずがない。」
「月奈は既に説明したじゃない。あの動画は全て顔をすり替えられたもので、本人ではないって。説明も読まずに無脳な批判ばかりして。」
……
久我湊は静かに藤丸詩織に尋ねた。「社長、大丈夫ですか?」
藤丸詩織はソファに横たわりながら、感慨深げに言った。「さすがに桜井家の広報は上手いわね。特に桜井のお爺様の功績を桜井蓮に転嫁できるなんて!」
久我湊は驚いて、信じられない様子で言った。「捏造だと思っていましたが、他人の功績を横取りしているんですね。」
藤丸詩織は「うん」と答えた。