155 仕方なく購入を諦める

水野月奈は実は既に目が覚めていたが、目を開けずにいた。桜井蓮が何をするのか知りたかったのだが、彼は彼女を気遣う言葉一つかけることなく、むしろ立ち去ろうとしていた。

水野月奈は仕方なく目を開け、桜井蓮を引き止めようとしたが、彼は結局去ってしまった。

水野月奈は深いため息をつき、携帯を手に取って水野琳に電話をかけた。通じると泣きながら言った。「おばさん、さっき蓮さんに残って私と一緒にいてほしいって言ったのに、断られて結局帰っちゃったの。私に対する態度が昔と全然違うの。もう私のことが好きじゃなくなったのかしら?これから私、桜井家の奥さんになれるのかしら?」

水野琳は淡々と答えた。「もちろんよ」

水野月奈は呆然と尋ねた。「本当?」

水野琳は断言した。「すべて私の想定通りよ。あなたと桜井蓮が抱き合っている写真はもうメディアに出回っているし、ネット上でも多くの人が信じている。彼が残るか残らないかは、重要じゃないわ」

「今は何も心配することはないの。おとなしく待っていればいいだけ。最後には必ず桜井奥さんになれるわ」

水野琳の保証を得て、水野月奈はようやく安堵した。

同時に水野月奈は、桜井奥さんになった後、どれだけの人が自分を羨むだろうかと想像せずにはいられなかった。

そして桜井奥さんになった後の最初の仕事は、藤丸詩織を懲らしめることだった。藤丸詩織のせいで自分の良い話が台無しになったのだ。さもなければ、とっくに桜井蓮と結婚できていたはずなのに!

しかし水野月奈は、最近の桜井蓮の態度の変化を思い出し、思わず口にした。「蓮さんは動画を見てから、私に対する態度が昔ほど良くなくなったわ。私との結婚の計画に影響が出るんじゃないかしら?」

「ないわ」水野琳は冷笑して続けた。「桜井蓮はこれまであなたをあれほど好きだったのよ。好きじゃなくなるなんてことがあるはずないわ。私の男性研究によれば、彼は一時的に面子が立たないだけよ。騒ぎが収まれば、また必ずあなたを好きになるわ」

水野月奈はこの瞬間、完全に安心した。ただ藤丸詩織のことを考えると、まだ胸に煮えくり返るものがあり、今すぐにでも彼女を殴りつけたい気持ちだった。

藤丸詩織は水野月奈の考えを知らなかったが、知ったとしても気にしなかっただろう。目の前の藤丸知佳を見ながら、とても気分が良かったからだ。