水野月奈は実は既に目が覚めていたが、目を開けずにいた。桜井蓮が何をするのか知りたかったのだが、彼は彼女を気遣う言葉一つかけることなく、むしろ立ち去ろうとしていた。
水野月奈は仕方なく目を開け、桜井蓮を引き止めようとしたが、彼は結局去ってしまった。
水野月奈は深いため息をつき、携帯を手に取って水野琳に電話をかけた。通じると泣きながら言った。「おばさん、さっき蓮さんに残って私と一緒にいてほしいって言ったのに、断られて結局帰っちゃったの。私に対する態度が昔と全然違うの。もう私のことが好きじゃなくなったのかしら?これから私、桜井家の奥さんになれるのかしら?」
水野琳は淡々と答えた。「もちろんよ」
水野月奈は呆然と尋ねた。「本当?」
水野琳は断言した。「すべて私の想定通りよ。あなたと桜井蓮が抱き合っている写真はもうメディアに出回っているし、ネット上でも多くの人が信じている。彼が残るか残らないかは、重要じゃないわ」