165 浮気相手

水野月奈は榊蒼真を見つめ、笑いながら言った。「あなたは本当に藤丸詩織のことが好きなのね。彼女のために怒りを買ってまで、彼女を守ろうとするなんて。でも、あなたがどれだけ彼女のために怒ったところで、桜井蓮お兄さまは私しか見てくれないわ!」

榊蒼真の水野月奈を見る目はさらに冷たくなった。藤丸詩織は彼の心の中の女神だった。水野月奈が彼女についてそんな風に言うなんて。

彼は冷たい声で言った。「離婚を切り出したのは姉さんだ。姉さんは桜井蓮のことなど全く好きじゃないし、誰を好きになろうと気にしていない」

水野月奈は榊蒼真が藤丸詩織を守る様子を聞いて、伏せた瞳に嫉妬の色を満たした。

藤丸詩織のような下賤な女のそばに、なぜこんな素敵な男がいて守ってくれるの?それに、なぜ彼女はこんなに変わってしまったの?私の計画の邪魔をして。三年間のように弱々しいままでいれば良かったのに。