高遠蘭子は体を起こし、茫然と言った。「このレストランはそんなに有名なの?」
城之内祐希は頷いて、「このシェフの料理は本当に美味しいと聞いています。もし機会があれば、オーナーからレシピを購入して、自分の料理の腕を上げられたら最高ですね」と言った。
高遠蘭子は目を輝かせながら城之内祐希を見つめ、驚いて尋ねた。「祐希、あなた料理もできるの?」
城之内祐希は軽く笑って答えた。「以前、留学していた時に現地のパンやミルクに飽きてしまって、自分で料理を作るようになったんです」
高遠蘭子は心の中で城之内祐希への満足度が更に増した。
城之内祐希はスタイルが良く、容姿端麗で、家柄も良く、海外留学帰りで、しかも料理までできる。
高遠蘭子は城之内祐希こそが理想の義理の娘だと感じた。セレブ仲間に自慢できるだけでなく、家では料理も作ってくれる。もしかしたら将来はメイドさんも必要なくなるかもしれない。
藤丸詩織と比べたら、段違いに良かった!
水野月奈については……
高遠蘭子は冷笑した。彼女のような詐欺師で、不倫家族の出身の人間は、とっくに下賤な人間として分類していて、もう口にする価値もない。
家柄と言えば、高遠蘭子は突然、城之内奥さんとは知り合いだが、会社を経営していることしか知らず、具体的に何をしているのか知らないことに気付いた。
高遠蘭子は城之内祐希に向かって尋ねた。「祐希、あなたの家はどんな事業をしているの?」
城之内祐希は正直に答えた。「うちは映像関係の仕事をしています」
高遠蘭子:「映像関係?城之内メディアのこと?」
城之内祐希:「はい」
高遠蘭子は普段企業のことにあまり関心を持っていなかったが、城之内メディアの名声は聞いたことがあった。呆然として言った。「あなたの家が城之内メディア?エンターテインメント業界で二番目に大きい会社?」
城之内祐希は頷いて、笑いながら言った。「父は投資の目が良くて、この数年で多くのヒット作を出して、会社も順調に発展しています」
城之内祐希は続けて数例を挙げた。
高遠蘭子はそれを聞いて、興奮を抑えきれずに言った。「それらの作品、私全部大好きなのよ。あなたの家が制作していたなんて!」
城之内祐希は微笑んで、優しく言った。「そうなんです。伯母さんが興味があれば、今度撮影現場にお連れしますよ」