254 お誕生日おめでとう

城之内文也は橘泉と藤丸詩織を怒らせたくなかったので、諦めるしかなかった。

城之内文也はポケットから新しい名刺を取り出し、藤丸詩織の前のテーブルに深々と頭を下げながら置いて言った。「申し訳ありません。私の都合で話がまとまらなかったのですが、今後機会がありましたら、ぜひ協力させていただきたいと思います。」

藤丸詩織は目を伏せて、名刺を見つめた。

城之内文也は慌てて言った。「これが私の名刺です。藤丸様、もし協力のお考えがございましたら、いつでもご連絡ください。」

城之内文也の態度は城之内祐希よりもずっと良かったので、藤丸詩織は数秒考えた後、頷いて言った。「名刺は預からせていただきます。協力の件は、また改めて検討させていただきます。」

城之内文也は何度も頷きながら、「はい」と答えた。