255 誕生日プレゼント

橘譲は藤丸詩織が目を開けるのを待って、急いで言った。「詩織、早くロウソクを吹き消して!」

藤丸詩織は応えた。「うん。」

藤丸詩織は静かにロウソクを吹き消した。

橘譲はすぐに驚きの声を上げ、藤丸詩織の側に寄って、小声で尋ねた。「詩織、今どんな願い事をしたの?」

藤丸詩織は橘譲を一瞥し、困ったように言った。「三兄さん、誕生日の願い事は言っちゃうと叶わなくなるでしょう。」

橘譲はそれを聞いて、尋ねるのを諦めた。彼は落胆することなく、すぐに興奮して尋ねた。「詩織、個室の飾り付けは綺麗だった?」

藤丸詩織は頷いて、笑顔で言った。「綺麗だよ!」

橘譲は満足そうに笑いながら言った。「へへ、これは僕が特別に詩織のために飾り付けたんだ。気に入ってくれて良かった。」

橘泉は橘譲の言葉に不満そうで、すぐに口を開いた。「何が君が特別に飾り付けたって、僕だってアイデアを出したんだぞ?」

藤丸美音も負けじと言った。「私もよ、さっき飾り付けを手伝ったんだから!」

藤丸詩織はこの賑やかな光景を見て、心が温かくなった。

自分で誕生日を忘れていたのに、家族が覚えていてくれた。この感じは本当に素敵だった。

そして彼女が先ほど願った願い事は、家族みんなと幸せに一緒にいることだった。

藤丸詩織は静かに言った。「みんな、ありがとう。」

橘泉は「私たちは家族なんだから、お礼なんて言わなくていいよ。よそよそしすぎじゃない?」

橘譲も同意して言った。「そうだよ、僕たちは詩織にお礼を言ってほしいわけじゃない。ただ、僕たちの飾り付けを見て、詩織が喜んでくれたらいいなと思っただけだよ。」

藤丸詩織は軽く笑って、心から言った。「とても嬉しいよ!」

藤丸詩織は「そういえば、三兄さんのクラブって実は用事なかったんでしょう?これは個室を飾り付けるための口実だったの?」

橘譲は「へへ」と二回笑って、答えた。「その通り!」

藤丸詩織は橘譲の真意を見抜いた後、橘泉の方を向いて尋ねた。「二兄さんが今回帰ってきたのは、私の誕生日のためですか?」

橘泉は頷いて、続けて言った。「大兄も帰ってくるつもりだったんだけど、突然緊急の仕事が入って、どうしても抜けられなくて帰れなかったんだ。でも、君へのプレゼントを預かってきたよ。」

橘泉はプレゼントの箱を持ってきて、藤丸詩織の前のテーブルに置いた。