結城雛が贈ったのは、ローズゴールドのブレスレットで、小さなダイヤモンドが付いていて、とても豪華に見えた。
ピンクの箱の下には、メッセージカードがあり、優美な文字で「親愛なる親友の藤丸詩織へ、お誕生日おめでとう。いつも笑顔で、ますます綺麗になりますように。愛してるわ!」と書かれていた。
藤丸詩織は口元を緩めて軽く笑い、呆れたように言った。「この子ったら...」
橘譲は困惑した様子で口を開いた。「なかなか心のこもった贈り物だね。それに結城雛って名前、どこかで聞いたことがある気がする」
藤丸詩織:「聞いただけじゃなくて、会ったこともあるのよ!」
藤丸詩織は結城雛が橘譲のことを好きだったことを思い出し、急いで言った。「結城雛は私の親友で、よく遊びに来てたの。覚えてる?」
橘譲は少し考え込み、頭の中に一人の少女の姿が浮かんできた。
橘譲:「随分昔のことだから、よく覚えていないな。詩織、他のプレゼントも見てみたら?」
藤丸詩織はまだ結城雛のことについて話したかったが、橘譲が話題を変えたので、とりあえずこの件は後回しにすることにした。
藤丸詩織がプレゼントを開け続けると、桜井桉慈からの贈り物を見て、少し呆然とした。
橘泉と橘譲は藤丸詩織の様子を見て、すぐに近寄り、誰からの贈り物かを確認すると、静かになって小声で「詩織...」と呼びかけた。
藤丸詩織は我に返り、笑顔で言った。「大丈夫よ。おじいさまは私にとても優しかったの。昔、桜井家にいた頃は毎年プレゼントを用意してくれてたの。ただ、私が今桜井蓮と離婚したのに、まだ...」
藤丸詩織は少し顔を上げ、目に浮かんだ涙をこらえた。
藤丸詩織は箱を開けると、中には精巧な簪が入っていた。
簪は紫檀で作られ、上質な彫刻が施され、簪の尾には金糸と銀糸で繊細な模様が刺繍され、中央は透かし彫りの花模様だった。
簪のデザインはシンプルながら、気品があった。
桜井桉慈が送った箱の中にも誕生日の祝福メッセージが書かれたカードが入っていた。
藤丸詩織は簪をしまい、小声で「ありがとう、おじいさま」と言った。
橘泉はため息をつき、「桜井家のおじいさまは本当にいい人なのに、孫の桜井蓮が...」