268 人違い

桜井蓮は高遠蘭子との電話を切ったばかりのところに、桜井桉慈からの電話が入った。

桜井桉慈:「どうだった?昨夜、藤丸詩織ちゃんに誕生日プレゼントを渡せたかい?」

桜井蓮は昨夜の藤丸詩織の、自分とあの男に対する態度の違いを思い出し、胸の中で怒りが燃え上がった。深呼吸を何度かしてから、やっと口を開いた:「渡したよ。」

桜井桉慈は興奮して言った:「渡せてよかった、よかった!そうだ、藤丸詩織ちゃんはプレゼントを見てすごく喜んでくれただろう?」

桜井蓮は不機嫌そうに答えた:「いいや。」

桜井桉慈は黙り込み、しばらく考えてから、やっと言った:「藤丸詩織ちゃんは心の中では感動してるはずだよ。ただ表面に出してないだけさ。この機会に彼女ともっと交流を深めて、食事に誘ったり、買い物に誘ったりしたらどうだい。」