衛宮院長は慌てて駆けつけ、藤丸詩織の冷たい瞳と目が合うと、その場で固まってしまった。
長谷司は衛宮亮を見かけると、目を輝かせ、藤丸詩織を指差して言った。「院長、この小娘が自分は名医だと言い張っているんです!」
時間が一分一秒と過ぎていく中、院長は何も言わなかった。
長谷司の顔に一瞬の戸惑いが浮かんだが、すぐに平静を取り戻し、藤丸詩織を見つめて言った。「院長も名医を騙るようなあなたに呆れて言葉も出ないようですね。あなたは…」
衛宮亮は長谷司が藤丸詩織を指差す手を払い落とし、厳しい声で叱責した。「名医を指差すその手を下ろしなさい!」
長谷司は呆然として、信じられない様子で言った。「院長、まさか彼女が名医だというんですか?」
長谷司は院長の返事を待たずに続けた。「そんなはずがない、こんな若そうな人が、どうして高度な医術を持つ名医なんかになれるんですか?」