藤丸詩織は相槌を打ちながら口を開いた。「でも、お兄さんは海外にいるから、全然見えないわ。それに、お兄さんが私のことを好きになるはずがないし、もしお兄さんが陰でこんなことを言っているのを知ったら、きっと殴られるわよ」
久我湊は心の中で再び自分の兄のために黙祷を捧げた。
相良健司は電話に出た後、病室の外へ足早に向かったが、電話からは声が聞こえず、再び携帯を見ると、画面がホーム画面に戻っていた。
相良健司は少し戸惑い、「さっきの着信は気のせいだったのかな?」
相良健司は通話履歴を確認すると、聞き間違いではなかったことがわかった。確かに桜井蓮からの着信があったが、通話時間はわずか十数秒だった。
もしかして間違い電話だったのか?
相良健司が折り返し電話をかけたが、桜井蓮は切ってしまった。