少年は少し考えて、答えた。「はい」
今は行くところもないし、これからどんなことが起きても構わなかった。
そして、なぜかわからないが、目の前のこの女性を見ていると、どこか懐かしさを感じ、無意識のうちに彼女を信頼したくなり、彼女は自分を害することはないと思えた。
藤丸詩織は頷き、車のドアを閉めて、その場を離れた。
車を停めた場所は学校から近く、藤丸詩織はすぐに学校に着き、生徒の案内で教職員室に向かった。
藤丸詩織は事前に学校に連絡を入れていたため、到着後すぐに担当者と退学手続きを進めることができた。
手続きの合間に、上品な雰囲気の中年女性が藤丸詩織の側に来て、静かな声で尋ねた。「藤丸美音さんのご家族の方ですか?」
藤丸詩織は頷いて答えた。「美音のいとこです。あなたは?」