317支社

水野月奈は携帯の画面を見つめ、口をパクパクさせた後、ついに決意を固めて口を開いた。「私は嵌められたんです!」

桜井蓮は目を閉じ、深く息を吸い込んでから、複雑な眼差しで水野月奈を見つめた。「記者のインタビューに応じていたのは、君だよ」

水野月奈は「私は...」

桜井蓮は水野月奈の言葉を遮り、真っ直ぐに彼女を見つめながら言った。「月奈、私は昨日今日知り合ったわけじゃない。君のことは見間違えるはずがない」

水野月奈は再び携帯の画面を見て、藤丸グループが公式に発表した証拠を目にすると、完全に呆然としてしまった。

藤丸詩織がどうやって自分の予備の携帯のスクリーンショットを入手したのか、理解できなかった。

水野月奈は桜井蓮の視線に気づくと、慌てて言い訳した。「蓮お兄さん、これは絶対に藤丸詩織が偽造したものです。私の携帯にはこんな内容は一切ありません」

水野月奈はそう言うと、すぐに相良健司からバッグを奪い取り、自分の携帯を取り出して桜井蓮に見せた。

彼女は心の中で安堵していた。幸い自分は携帯を複数持っていて、連絡先などは別の携帯に保存してあったのだ。

桜井蓮は馬鹿ではなかった。水野月奈がほっとした様子を見せた時点で、彼女の小細工を見抜いていた。

そして彼は藤丸詩織のコンピュータースキルをよく知っていた。水野月奈のやったことを突き止めるのは、彼女にとっては朝飯前だった。

桜井蓮は目を伏せ、断固として言った。「詩織が君を陥れるはずがない!」

水野月奈は一瞬和らいだ緊張感が再び高まった。桜井蓮が携帯も確認せずに、藤丸詩織を信じきっているとは思わなかった。

彼女は桜井蓮が自分に再び好意を持ち始めたと思っていたのに、まさか藤丸詩織を信じるとは。これは先ほど藤丸詩織に送ったメッセージが完全な笑い物になったことを意味していた。

水野月奈は気持ちを整理し、再び弁解を始めた。「でも私はこんなことしていません。動画も撮ったことがありません。絶対に合成されたものです。蓮お兄さん、藤丸詩織に騙されないでください!」

桜井蓮の水野月奈を見る目はますます冷たくなり、相良健司に目配せして水野月奈を押さえるよう指示した。

相良健司は以前から水野月奈のことが気に入らなかったので、ようやく桜井蓮から命令を受けると、前に出て彼女をぐっと押さえつけた。