321 桜井蓮をブロック

桜井蓮は理解できなかったものの、周防司に命令するように言った。「私に資格があるかどうかに関係なく、今日からもう藤丸詩織のことを好きになってはいけない!」

桜井蓮は、周防司が長年の親友でなければ、今すぐ殴りに行っていただろうと思った。

周防司は足取りがふらつく桜井蓮の後ろ姿を見て、病気でもあるのかと思いながら、彼の警告を頭の中から追い出した。

桜井蓮は外に出て真っ暗な空を見上げ、瞳に戸惑いが浮かんだ。

彼はこれまで否定し続け、藤丸詩織に対しては罪悪感しかなく、彼女に優しくするのも償いのためだと心の中で固く信じていた。

でも、本当に罪悪感だけだったのだろうか?

桜井蓮は先ほど周防司が藤丸詩織を追いかけると言った時の心臓の一瞬の停止と、最近藤丸詩織のことで揺れ動く感情を思い出した。