桜井蓮は反論した。「話してくれたら聞かないかもしれないって、どうしてわかるの?」
周防司は桜井蓮を見つめ、淡々と言った。「もう一度よく考えてみろ」
その瞬間、桜井蓮は相良健司が何度も忠告してくれたことを思い出した。でも当時は水野月奈のことしか信じておらず、相良健司の言葉は全く耳に入らなかった。
そのとき、一人の女性が桜井蓮の側に寄ってきて、甘ったるい声で話しかけてきた。「イケメンさん、ずっと気になってたの。連絡先を交換してもいい?」
桜井蓮は既にイライラしていたところに、女性の言葉を聞いてさらに苛立ちが増した。グラスの酒を一気に飲み干し、不機嫌そうに断った。「ダメだ」
女性の表情が変わった。彼女は桜井蓮が入ってきた時から目を離さなかった。今まで様々な男性と接してきたが、いつも簡単に連絡先を交換できていたのに、今日は断られてしまった。