323 提携先

人々は藤丸詩織の言葉を聞いて、皆呆然としていた。

我に返ると、藤丸グループを引き継いでから彼女が行った一連の決断が会社にもたらした利益を思い出し、彼女の言葉を徐々に信じ始めた。

おそらく、藤丸詩織は本当に刺繍プロジェクトを成功させることができるのだろう。

藤丸明彦は不機嫌な顔をして、冷たい声で言った。「うまい話をするね。でも、それは株主たちを騙しているだけかもしれない。結局、失敗したとしても、それは後の話だからね」

藤丸明彦の言葉が落ちると、人々も我に返った。

「そうだ、一時的に私たちを安心させているだけかもしれない」

「もし刺繍プロジェクトが失敗したら、藤丸さんの業界での地位も下がってしまう」

「藤丸社長、藤丸明彦も会社のことを考えているんです。権力の問題で彼に反発するのはやめましょう」

……

藤丸明彦は株主が直接自分の名前を呼ぶことに不満を感じたが、今はそのことにこだわっている場合ではないと分かっていた。ただし、その株主の名前は覚えておき、藤丸グループを取り戻した後で処分することを決めていた。

藤丸明彦は藤丸詩織を見て、笑いながら口を開いた。「詩織、叔父さんも君の能力は信じているよ。ただ、最近疲れているんじゃないかと思ってね。こうしないか？しばらく休んで、会社は叔父さんに任せてみては？」

藤丸詩織は口角に笑みを浮かべ、意味ありげに藤丸明彦を見つめた。

藤丸詩織は「叔父さんは、私が休んでいる間に会社を自分の手中に収めようとしているんですか？」と言った。

藤丸明彦は藤丸詩織が自分の本心を見透かしたことに驚き、一瞬面持ちが崩れたが、逆に彼女を非難した。「詩織、どうして叔父さんをそんな風に考えるの？」

藤丸明彦は「私は最近の君の疲れを見て、手助けしようと思っただけだよ。休養が終わったら会社を返すつもりだったのに、まさかそんな風に思われるとは！」と言った。

藤丸詩織は藤丸明彦を見つめ、「本当ですか？」と問いただした。

藤丸明彦は目を泳がせながら、震える声で「も、もちろんだ」と答えた。

高遠康は我慢できなくなり、藤丸明彦の味方をして「藤丸社長、藤丸明彦はあなたの叔父上です。どうしてあなたを害するようなことをするでしょうか？」と言った。

柳瀬貴之は「そうですよ。それに私たちも彼とは何年も付き合いがありますが、いい人ですよ」と言った。