司会者:「藤丸さん主催の刺繍コンテストへようこそ!」
司会者の言葉を聞いた観客たちは、一斉に拍手を送り、興奮して歓声を上げた。
司会者:「では、審査員の椎名妙先生をご紹介いたします!」
椎名妙の名前が出た瞬間、参加者たちは一瞬固まり、数秒後に我に返ると、信じられない様子で声を上げた。「椎名妙先生!」
「本当に椎名妙先生だ。」
「すごい、椎名妙先生はとても神秘的な方なのに、まさか私が椎名妙先生にお会いできるなんて。」
「椎名妙先生って誰?」
「椎名妙先生を知らないの?椎名流刺繍の無形文化遺産伝承者よ!」
……
若宮佳奈は熱い眼差しで椎名妙を見つめていた。
彼女が刺繍に興味を持ったのは、かつての椎名妙先生の大会を見たからだった。ただ、その後どれだけ探しても先生の居場所が分からなかったのに、今日こうして実際にお会いできるなんて!