332刺繍大会の二次審査

藤丸詩織は少し考えてから、試すように言い出した。「私が家にいない時は、10時間ごとに報告するようにしましょうか。」

橘泉は頷いて、「いいですよ」と答えた。

藤丸詩織は橘泉の様子を見て、もう少し時間を延ばせるのではないかと感じ、少し後悔したが、呉羽真の言葉でその考えは消えていった。

呉羽真は「お嬢様、あの日私たちがこのニュースを聞いた時は、皆呆然としていました。若様たちは泣き出して、必死にお嬢様を探そうとしていました。幸い、お電話を頂いて、でなければ今頃は綾部市まで探しに行っていたところです。」

藤丸詩織は目を伏せ、静かに言った。「ごめんなさい、今回は皆さんを心配させてしまって。でも安心してください、これからは必ず自分の身を守ります。」

皆は藤丸詩織の言葉を聞いて、安心した様子だった。