374 雨音と月奈の協力

水野月奈は桜井蓮の去っていく後ろ姿を見つめながら、彼の言葉を信じることができず、やはり桜井蓮は藤丸詩織を探しに行くのだと思っていた。

水野月奈は歯を食いしばり、怒りが込み上げてきて、病院にいられなくなり、すぐに退院手続きを取った。

この病院の医師は彼女に買収されており、桜井蓮には彼女の怪我が重症だと伝えていたが、実際は表面的な傷に過ぎなかった。

水野月奈は、病院を出たとたんに桜井雨音に行く手を阻まれるとは思わなかった。

桜井雨音は腕を組み、鋭い眼差しで水野月奈を睨みつけ、冷たい声で言った。「あなたのような厚かましい人が兄を騙していたなんて、やっぱりそうだったわ!」

水野月奈は一瞬動揺し、周りを行き交う人々を見回しながら、心の中は不安でいっぱいだった。

彼女は姿勢を低くして、懇願するように言った。「桜井さん、何かお話があるなら、人目につかないところでお願いできませんか?こんなに人がいるところでは…」