373 罪悪感

榊蒼真たちも次々と戻ってきた。

藤丸美音は満卓の料理を見て、嬉しそうに手を叩きながら、「わぁ、たくさんのお料理!いい匂い!」と喜んで言った。

氷川静は笑いながら、「さあ、手を洗って食事にしましょう」と言った。

数人が席に着くと、椎名妙は少し申し訳なさそうに、「私が来たばかりに、こんなにたくさんの料理を作ってしまって…」

氷川静は親切に椎名妙に料理を取り分けながら、「大丈夫よ、全部食べきれるわ」

藤丸詩織も椎名妙に料理を取り分けながら、氷川静の言葉に同意して「そうですね、全部食べきれます」

藤丸美音もうなずいて、「うん!」と賛同した。

氷川静は椎名妙の大好物を次々と取り分け続けた。

椎名妙は感動して「こんなに長い年月が経っても、私の好物を覚えていてくれたなんて。でも明日には帰らなければならないから、もっと一緒にいられなくて残念だわ」

帰る?

氷川静は不思議そうに尋ねた。「数日前に来たばかりじゃない?どうして急に帰るの?やっと会えたのに、もっとゆっくり話したかったのに」

藤丸詩織も椎名妙が突然帰ると聞いて驚き、急いで「どこか不便なところがありましたか?すぐに改善させますので、遠慮なく言ってください!」

椎名妙は首を振って説明した。「とても快適に過ごせているわ。ただ、地震が終わって、家の再建が始まったから、片付けに戻らないといけないの」

藤丸詩織は理解したように頷き、「送っていきましょうか」と続けた。

氷川静ももう引き止めず、藤丸詩織の提案に賛同して「そうね、一人で帰るのは心配だわ。詩織に送ってもらいなさい」

椎名妙は笑って「大丈夫よ、別の友人の孫が私が帰ることを知って、送ると言ってくれたの。もう承諾してしまったわ」

氷川静:「友人の孫?」

藤丸詩織は目を伏せ、桜井蓮の姿が脳裏に浮かんだ。

次の瞬間、椎名妙は案の定「桜井蓮」と言い出した。

氷川静はその名前にどこか聞き覚えがあるような気がして、どこかで聞いたことがあるような気がした。

橘譲:「おばあちゃん、この前会ったもう一人の男の子だよ」

氷川静は橘譲の言葉で、やっと誰なのか思い出した。

椎名妙は笑いながら「みなさん会ったことがあるのね。そういえば、桜井蓮くん、詩織ちゃんのことを気に入っているみたいよ」

榊蒼真は食事の動作を止め、思わず背筋を伸ばして、藤丸詩織を見上げた。