387 私をいじめたのが悪いのよ

桜井雨音は大股で立ち去ろうとしたが、急ぎすぎて転んでしまった。

彼女は慌てて立ち上がろうとしたが、再び転んでしまい、振り返ると大勢の人が彼女を見ていて、頬が火照るように痛んだ。

桜井雨音は彼女を助け起こそうとした森村梧を突き飛ばし、怒鳴った。「消えろ！あなたたち、私のことを馬鹿にするなら容赦しないわよ。貧乏人のくせに私を笑う資格なんてないでしょ？」

皆は最初、桜井雨音を助けようとしたが、彼女の言葉を聞いた後、表情が一気に冷たくなり、思わず皮肉を言い始めた。

「いい家に生まれただけのくせに、何が偉いのよ」

「お金持ちはみんな品があると思ってたけど、それは私の思い込みだったみたいね」

「恥ずかしい。こんな人間が同じ国に住んでるなんて」

……

水野月奈が来て桜井雨音を連れ去った。

桜井雨音は元々水野月奈に対して高慢な態度を取っていたが、今彼女の姿を見ると突然親しみを感じ、泣きながら言った。「お兄ちゃんはどうして私を助けないで、藤丸詩織の味方をするの？腹が立つ、本当に腹が立つわ！」

水野月奈は藤丸詩織の名前を聞いて、瞳に暗い色が浮かび、続けて言った。「きっと何か手を使って、桜井蓮お兄さんを惑わしたのよ」

水野月奈は桜井雨音を更に慰め、彼女が自分に対してより依存的になったのを見て、タイミングが来たと判断し、すぐに牛島岳にメッセージを送った。

一分後。

桜井雨音は牛島岳から電話を受けた。

牛島岳：「桜井雨音さん、遊びに来ませんか？新しくオープンしたバーを見つけたんですが、お酒がとても美味しくて、雰囲気も最高なんです。真っ先にあなたに教えたくて。お嬢様、お時間ありますか？」

桜井雨音：「お酒？」

牛島岳は笑いながら答えた：「そうですよ、悩みを忘れられますし、気分転換にもなりますし……」

桜井雨音：「住所を送って、今すぐ行くわ！」

桜井雨音は電話を切った後、水野月奈に向かって言った：「行きましょう、一緒にバーに」

水野月奈は表情を硬くし、慌てて手を振って断った：「私はまだ用事があるから、また今度一緒に行きましょう」

桜井雨音は水野月奈を見て言った：「あなた、なんか様子がおかしいわ」