409 ハッカー大会に参加

桜井蓮は他の人と対面していれば、すぐに行動を起こせたはずだが、相手は水野月奈であり、しかも確実な証拠もない今、軽率に彼女を傷つけることはできなかった。

桜井蓮が会社に戻ると、暗号化された電話を受けた。

ボブ:「兄弟、ハッカー大会に参加するか?」

桜井蓮は疑問に思った:「ハッカー大会?」

ボブ:「なんてこった、ハッカー大会のことも知らないのか。今日から始まるんだぞ。しかも東京でだ。お前も東京にいるだろう?そういえば、招待状は届いてないのか?」

桜井蓮は先日見た封筒を思い出し、眉間を押さえながら:「すまない。家で少し問題があって、参加する時間がない。次回にするよ。」

ボブ:「今回のハッカー大会は貴重な機会だぞ。次回がいつになるかわからないし、俺たちも何年も知り合いだけど、オンラインでの交流だけだった。今回は参加してくれよ。直接会えるじゃないか。」

桜井蓮は、以前会社の問題に直面した時にボブが助けてくれたことを思い出し、妥協して:「わかった。後で場所を送ってくれ。」

大会の会場は郊外の大きな屋敷で、敷地内には噴水やプール、美しい花や木々があった。

ハッカー大会はオフラインで開催されるが、彼らは神秘的な雰囲気を保つため、全員が入場時にマスクと声質変換器を着用することになっていた。

藤丸詩織と榊蒼真の二人はマスクを着け、入場券を提示して一緒に中に入った。

藤丸詩織の姿は多くの人の注目を集めた。大会に参加するハッカーは多いが、女性の割合は少なく、まして美しい女性となるとなおさらだった。

男たちは思わず集まって小声で話し合い始めた。

「あの女、スタイルいいよな。ハッカーとしての実力はどうだろう?」

「たいしたことないだろう。きっと誰かの男につい来ただけさ。今回の大会は友人同伴可能だしな。」

「俺もそう思う。だってハッカーの技術なんて難しいのに、女、それも美人な女が根気よく勉強するわけないだろう。そんな時間があったら、男を見つけて付き合って、金を騙し取るに決まってる。」

……

藤丸詩織は足を止め、冷たい目で彼らを見つめ、冷ややかな声で言った:「マスクと声質変換器で素性を隠せるからって、自分たちの汚れた魂を好き勝手にさらけ出すのね。」