408 水野月奈を疑う

桜井蓮は話題を変えるつもりはなく、深刻な声で言った。「牛島岳が桜井雨音を傷つけた犯人だ」

水野月奈は手で目を覆い、驚きで口を大きく開けたまま、信じられない様子で言った。「私が牛島岳と接した数回の印象では、彼は紳士的な人だと思っていたのに。まさか裏では、こんな人間だったなんて！」

水野月奈は桜井蓮をちらりと見て、彼の表情が変わらないのを確認すると、すぐに牛島岳を怒りの目で見つめながら言った。「雨音は私の親友なのに、よくもそんなことができたわね。蓮お兄さん、牛島岳みたいな人間はこの世に存在するべきじゃないわ。殺してしまって。誰にも言わないから！」

牛島岳は水野月奈がまさか自分を殺せと言い出すとは思わず、痛みをこらえながら怒りを込めて叫んだ。「あの時は明らかにお前が指示したことだろう。それなのに今になって全部俺に責任を押し付けるのか、この売女が！」

水野月奈の瞳孔が縮み、背後で手を握りしめた。

桜井蓮は顔を曇らせ、氷のような刃物のような声で水野月奈に向かって言った。「お前が指示したのか？」

水野月奈は顔を蒼白にして首を振り、涙を一滴一滴流しながら泣きながら言った。「違います、私は指示なんてしていません。蓮お兄さん、私を信じてください。牛島岳の言葉に惑わされないでください。彼がそんなことを言うのは、私が先ほどあなたに彼を殺してほしいと言ったから、私に仕返ししようとしているだけです」

彼女は桜井蓮がまだ信じていない様子を見て、さらに悲しそうに泣いた。「私と雨音はこんなに仲が良いのに、彼女を傷つける理由なんてありません。それに、私はあなたをこんなに愛していて、桜井雨音はあなたの妹なのに、私が彼女を傷つけるはずがありません！」

桜井蓮は水野月奈の言葉を聞いて、表情が少し和らいだ。

相良健司はそれを見て、急いで口を開いた。「牛島岳さんの先ほどの言葉は、嘘をついているようには聞こえませんでしたが」

桜井蓮も違和感を感じ、冷たい目で水野月奈を見つめた。

水野月奈は相良健司を刃物で刺し殺してやりたいほど腹が立った。彼がいなければ、桜井蓮は先ほど自分を信じかけていたのに。

彼女は大股で前に出て牛島岳を何度か蹴り、泣きながら叫んだ。「なぜ私を冤罪に巻き込むの？誰かがあなたの家族を人質に取って、こうするように強要されているの？」