413 水野月奈の事実が露見

桜井蓮には事態がこうなってしまった理由が理解できなかった。

藤丸詩織が以前彼に冷たかった時、彼女が以前自分のことを好きになれたのだから、きっとまた好きになってくれるはずだと自分を慰めることができた。

しかし今、彼女が一度も自分のことを好きになったことがなかったことを知り、さらに以前の好意さえも、他人の光を借りたものだったことを知った。

藤丸詩織が以前彼にしてくれたことは、本来すべて他人のためのものだったのだ。

相良健司は先ほどの場面を見て、一言も言えなくなった。

しかしその時、彼の携帯が鳴り、周りの冷気がさらに冷たくなるのを感じながら、彼は体を震わせながら電話に出た。

「相良秘書、女性が牛島岳を監禁している倉庫に入りました。」

女性?

相良健司が口を開く前に、携帯は桜井蓮に取られた。

桜井蓮は冷たい声で言った。「彼女のことは放っておけ。監視カメラの映像を私の携帯に転送しろ!」

次の瞬間、携帯には水野月奈の姿が映し出された。

桜井蓮は表情を曇らせ、藤丸家の門を深く見つめた後、車に乗り込んで「倉庫へ行け」と言った。

相良健司は急いで「はい!」と応じた。

水野月奈は牛島岳が拷問に耐えきれずに事実を話してしまうのではないかと恐れ、心の中はますます不安になり、じっとしていられなくなった。

水野琳は彼女の様子を見て、「行動する前に私に相談すべきだったわ。もし私が早くあなたの未熟な計画を知っていれば、必ず止めていたはず。それに、やるなら牛島岳を殺すべきだったのに、生かしておくなんて!」と言った。

水野月奈は水野琳の言葉を聞いて、心の中がさらに落ち着かなくなり、同時に牛島岳を始末する考えが浮かんだ。すぐに家に隠してあった毒薬を取り出し、牛島岳が監禁されている倉庫へ向かった。

彼女は簡単に牛島岳に会うことができ、心の中でほっとして「まだ警備が緩いわ。そうでなければ、手を下すのも難しかったはずよ」と思った。

狭い部屋は暗く湿っており、強い生臭い匂いがした。水野月奈は嫌そうにマスクをつけ、彼を足で蹴って「薬を飲みなさい」と言った。

牛島岳は水野月奈を見て罵った。「このあま、やっと俺を助けに来たか!」

水野月奈は罵られて顔を曇らせたが、今は怒っている場合ではないと分かっていた。強い口調で「薬を飲め!」と言った。