436作品は偽物

橘泉は藤丸詩織に向かって疑問そうに尋ねた。「詩織、この書道作品がどうしてここにあるの?確か……」

藤丸詩織は多くを語らず、ただ軽く頷いて、オークション会場に目を向けた。

榊詩門は何か違和感を感じたが、藤丸詩織が何も言わないのを見て、それ以上は聞かなかった。

賀茂知之先生の書画は非常に有名で、多くの人が競り合っていた。

「1000万円」

「2000万円です」

「あなたたちには渡せない、5000万円」

「1億円!」

……

周防司は驚いて、城之内祐希を見つめた。「まさか、賀茂知之先生の作品を持っているとは」

桜井蓮も少し意外そうだったが、周防司ほど大げさな反応はしなかった。

城之内祐希は謙虚そうに言った。「たまたま手に入れただけですよ」

彼女は次々と上がっていく価格を見つめ、会場最高額を記録したことに、ますます満足げな笑みを浮かべた。

司会者:「ただいま、本日のオークション品『賀茂流序章』は長谷さんによって8億円で落札されました!」

会場内から驚きの声が上がり、続いて熱い拍手が沸き起こった。

司会者はこの時、声を上げた。「城之内様がこのような高価な品をご寄付くださり、大変嬉しく思います。ステージでひと言いただけますでしょうか?」

城之内祐希はもちろん、この注目を集めるチャンスを逃すはずもなく、颯爽とステージに上がると、優雅で静かな印象を与える笑顔を浮かべた。

司会者:「城之内様は、賀茂知之先生の作品を寄付することをどのようにお決めになったのでしょうか?」

城之内祐希は微笑んで答えた。「チャリティーというテーマを聞いた時、貧困地域の子どもたちを自分の力で助けたいと思いました。ちょうど賀茂知之先生の作品を見つけ、迷わず寄付を決めたんです」

司会者は感嘆せずにはいられなかった。「城之内様は本当に優しい方ですね。子どもたちのために自分の損得も考えずに。きっと普段から人助けをなさっているのでしょうね」

城之内祐希は躊躇なく頷き、同時に特徴的な笑顔を浮かべながら特別席の方を見た。自分の優しさを皆に見せようと努めた。藤丸詩織と目が合った時、彼女の心に突然ある考えが浮かんだ。