440 私は自分でできます

藤丸詩織は榊蒼真を見て、意外そうに尋ねた。「どうしてここにいるの？」

榊蒼真は素直に答えた。「僕は活動が終わってから神崎湊に会って、ちょうど彼もバラエティ番組が終わったところで、最近体型維持のために野菜ばかり食べているから、少し贅沢な食事に連れて来たんです。」

答えた後、藤丸詩織を見て、さらに彼女の後ろにいる榊詩門と橘泉を見て、不思議そうに尋ねた。「お姉さんは？」

藤丸詩織は答えた。「私たちはちょうどチャリティーパーティーを終えたところで、終わってからお腹が空いて。せっかく会えたんだから、個室で一緒に食事しましょう。」

榊蒼真は急いで頷いて応じた。「はい。」

バラエティ番組に参加した数人のゲストも居て、藤丸詩織を見かけると、すぐに投資家だと気付き、緊張した様子で傍らに立って「あ、あの、私...」

藤丸詩織は笑って言った。「こんにちは、私は人を食べたりしませんから、緊張しないでください。」

その言葉で、みんな徐々にリラックスし始め、大きな口で食事を楽しみ始めた。確かに、この期間彼らもずっと我慢していたのだから。

神崎湊はワイングラスを持って藤丸詩織の前に来て、顔を赤らめながら小声で言った。「藤丸さん、チャンスを与えてくださってありがとうございます。おかげで再びスクリーンに戻ることができ、みんなに思い出してもらえました。」

藤丸詩織もワイングラスを持ち上げて、笑いながら言った。「いいえ、あなた自身が頑張ろうとしたからこそ、今日の成果があるのよ。」

榊蒼真は藤丸詩織の手にあるワイングラスを見て、前に出て言った。「お姉さん、お酒を飲むと体調を崩すから、あまり飲まないでください。」

藤丸詩織は頷いて、「大丈夫よ、分かってるわ。」

榊蒼真はまだ心配そうだったが、藤丸詩織の輝く笑顔を見て、彼女の気分を害したくなかったので、口に出かかった忠告を飲み込んだ。

みんな興奮して話し合い、お酒も飲みながら、深夜まで続いた。

榊詩門は酔っぱらった榊蒼真を見て、尋ねた。「今どこに住んでるの？送っていこうか。」

榊蒼真は首を振り、藤丸詩織の姿を見つけると、フラフラと彼女の方へ歩いていき、手を伸ばして抱きしめながら、もごもごと言った。「僕は、僕はお姉さんと一緒に、一緒に帰る！」