蘇我紬が玄関に着いたところで、影山瑛志に腕を掴まれ、引き戻された。
詰問の言葉が次々と浴びせられた。
「なぜ勝手な判断をした?待つって言っただろう?」
「蘇我紬、お前がこんなに主張の強い人だとは今まで気付かなかったな。お前の言動がどんな結果を招くか分かってるのか?!」
「お前には背負えない!」
最後の五文字は、影山瑛志が奥歯を噛みしめながら一字一句はっきりと発した。その中に秘められた怒りは想像するまでもなく相当なものだった。
しかし、蘇我紬にとってはもはやどうでもよかった。
彼女は首を傾げ、率直に言った。「なぜ恥ずかしさのあまり怒るの?私はあなたと違って、約束を守る人間よ。だからお爺ちゃんの前で、全ての過ちを私が引き受けたの。お爺ちゃんは私を可愛がってくれているから、叱りもしなかった」