069 彼女が無邪気だった

蘇我紬は言葉を失った。

あの三文字すら彼に与えたくなかった。

彼女は影山瑛志に完全に失望していた!

まさに腹立たしさの極みだった!

自分のことに関しては正々堂々としているくせに、彼女のことになると一歩も譲らず、まるで彼女が何か天地を覆すような悪事を働いたかのように。もともと理不尽なのに、さらに彼女を苦しめる。

彼女を生地のように扱えると思っているの?

少しの気性もないと?

「瑛志、お爺ちゃんが私に何を言ったか知ってる?」

話題を変え、蘇我紬は無表情で言った。

影山瑛志は眉を上げた。「何だ?」

「お前のような孫がいることは、私の人生の恥だって」

蘇我紬は無表情を装っていたが、実際には心の中は葛藤で一杯だった。彼女も言いたくなかったのに...

影山お爺ちゃんのあの時の悔しそうな表情は今でも忘れられない。