蘇我紬は中で丸一時間処理をしていたが、まだ終わっていなかった。
影山瑛志は外でずっとそれだけの時間待っていた。
早乙女燐はそれをすべて見ていた。誰かに対する忍耐は、その人への想いの表れだと。
彼は思わず前に出て、気遣うように言った。「影山若様、何か食べ物はいかがですか?夕食もまだでしょう」
「結構だ」
冷たく断固とした態度で、影山瑛志は早乙女燐の申し出を一瞬の躊躇もなく断った。
病室を見つめる目は一瞬も離れず、看護師や医師が出てくるたびに、影山瑛志は思わず立ち上がり、期待を込めた眼差しを向けた。
しかし、ほとんどの場合無視された。彼らは小走りで行き来し、影山瑛志には一瞥もくれなかった。
だが、ここには早乙女燐の他にも、影山瑛志を見つめる病衣姿の人影がいた。
白川蓮は暗がりに隠れ、こっそりとここを見ていた。