215 影山瑛志の選択

影山瑛志の顔色が一変し、冷たい視線を白川蓮に向けながら、一言一言はっきりと言った。「好きにすればいい。白川蓮、俺は生きて苦しみ続けるだけだ。死にたくても死ねない」

白川蓮は考え深げに頷き、ベッドの端に体を寄りかかって床に座った。「影山さんの言葉は、もちろん信じていますよ。影山さん、楽しみにしていますね」

「だから、この薬はあなたにはあげません」

白川蓮の笑みは傲慢で放縦で、影山瑛志を少しも恐れる様子はなかった。

影山瑛志の表情が完全に暗くなる中、彼は突然手を上げ、容赦なく白川蓮の顔を激しく打った。

白川蓮の笑いは突然止んだ。

彼女は咳き込み、平手打ちの衝撃で顔が横を向き、目は否応なく床を見つめることになった。頬に炸裂するような痛みが走り、白川蓮は思わず息を呑んだ。

動悸が収まる間もなかった。

影山瑛志のこの一撃がいかに強かったかが想像できる。

彼は霜のように冷たい声で上から言い放った。威厳に満ちた態度で、「解毒薬を出せ」

白川蓮は口角を引き攣らせ、痛みで目に涙が浮かんでいたにもかかわらず、なお強情に鼻で笑い、拒否した。「影山さん、私への返事をくれないなら、この解毒薬は絶対に出しませんよ」

蘇我紬にとって良いことは、彼女、白川蓮は最も望まないことだった。

影山瑛志は歯を食いしばってこの女を見つめ、拳を握りしめた。「白川蓮、お前、良い話を聞かないつもりか」

これが彼の最後のチャンスだった。もし白川蓮が解毒薬を渡さないなら、彼も共倒れも厭わない。

海外のどの男が知っているような解毒薬を白川蓮が見つけられるとしても、影山瑛志の目には大したことではない。時間の問題に過ぎなかった。

しかし、白川蓮は全く譲歩する気配がなかった。

影山瑛志は頷き、声高に言った。「早乙女燐、警察を呼んで逮捕させろ」

白川蓮は一瞬にして慌てふためき、立ち上がって困惑した様子で影山瑛志を見つめ、急いで尋ねた。「私を罰すると言ったじゃないですか?なぜ警察を呼ぶんですか?」

「お前は法を犯した。刑務所に入るのが当然だろう?」

影山瑛志の言葉は白川蓮にとって、晴天の霹靂のようだった。頭上に落ちた雷に打たれたように、彼女の心は凍りついた。