白川蓮は何の選択肢も与えられず、彼女を満足させる返事も得られなかった。
彼女の末路は決して良いものとは言えなかった。
解毒剤を渡さないのなら、影山瑛志はもう諦めることにした。
彼は振り向いて立ち去った。
白川蓮に一言も告げず、まるで蘇我紬の命など全く気にしていないかのように冷たく去っていった。白川蓮は焦ることもなく、影山瑛志が折れるのは時間の問題だと思っていた。
なぜなら、影山瑛志はこの薬が人にどのような結末をもたらすのか全く知らないからだ。
解毒剤で制御されていなければ、あの女の狂った姿を想像するだけで、白川蓮は夢の中で笑い声を漏らしてしまうほどだった。
白川蓮の病室は施錠され、医師も入れず、当然白川蓮も出られなかった。
さらに二十四時間体制で監視されていた。
白川蓮はそれを気にも留めていなかったが、一日が過ぎても誰も彼女を訪ねてこないことに気付いた。訪問者がいないことは重要ではなく、重要なのは誰も食事を持ってこないことだった。
最初のうちは平気だったが、白川蓮は時間が経つにつれて耐えられなくなってきた。
彼女は腹が減って前後がくっつきそうになっていた。白川蓮はこれが影山瑛志からの罰だと分かっていたが、黙って受け入れていた。
解毒剤はまだ彼女の手元にある。影山瑛志が彼女を簡単に見捨てることはないはずだ。
影山瑛志は彼女を脅かそうとしているだけだ。
恐れるに足りない!
そう思っていたものの、白川蓮は想像もしていなかった。かつてない空腹感に耐えながら眠りについた後、目が覚めたのは翌朝の六時だった。用事がない時は、こんなに早く目覚めたことはなかった。
白川蓮は空腹で目が覚めた。
目覚めた瞬間から気分が悪かった。眠くて空腹で、昨夜は空腹で眠れず、今朝も空腹で苦しかった。
一日何も食べないというのは本当に最悪な感覚だった。
白川蓮はこの苦しみを一度味わってしまうと、どれほど耐え難いものかを知った。頭の中で白いまんじゅうを想像するだけで甘美に感じられた。白川蓮はベッドに横たわり、真っ白な天井を見つめながら、深い思考に沈んだ。
自分を追い詰める必要なんてあるのだろうか?