白川蓮は何の選択肢も与えられず、彼女を満足させる返事も得られなかった。
彼女の末路は決して良いものとは言えなかった。
解毒剤を渡さないのなら、影山瑛志はもう諦めることにした。
彼は振り向いて立ち去った。
白川蓮に一言も告げず、まるで蘇我紬の命など全く気にしていないかのように冷たく去っていった。白川蓮は焦ることもなく、影山瑛志が折れるのは時間の問題だと思っていた。
なぜなら、影山瑛志はこの薬が人にどのような結末をもたらすのか全く知らないからだ。
解毒剤で制御されていなければ、あの女の狂った姿を想像するだけで、白川蓮は夢の中で笑い声を漏らしてしまうほどだった。
白川蓮の病室は施錠され、医師も入れず、当然白川蓮も出られなかった。
さらに二十四時間体制で監視されていた。
白川蓮はそれを気にも留めていなかったが、一日が過ぎても誰も彼女を訪ねてこないことに気付いた。訪問者がいないことは重要ではなく、重要なのは誰も食事を持ってこないことだった。