228 あなたこそ私のことを一番分かってくれる人

蘇我紬は自分の失態を知り、親友の面子を潰してしまったことを悟り、すぐにマンゴスチンの実を一つ突いて夏川澄花に渡しながら言った。「撮影は本当に大変で疲れるものよね。あなたみたいに責任感のある役者さんは珍しいわ。撮影で苦労するって言うのは、褒め言葉なのよ」

夏川澄花は考え直してみると、確かにそうだった。

顔だけで売れている芸能人もいて、そんなに綺麗でもないのに、演技も下手なうえに、偽りの部分も多い。そう考えると、夏川澄花はため息をつくしかなかった。

蘇我紬の肩にすり寄りながら、マンゴスチンの実をちらりと見た。

白くてぷっくりしていて、見た目も味も良さそう。

蘇我紬は察して、もう一つ突いて渡した。

黒田伊織はそれを見て眉を上げた。蘇我紬のたった一言で機嫌が直ったのか?