夏川澄花は今では全く驚かなくなり、完全に免疫ができていた。
夏川澄花は平然と歩み寄り、黒田伊織の膝の上に座り、抱かれるままにしていた。
男だって甘えることがある。黒田伊織のようなクールな男性でさえ、例外ではない!
夏川澄花は黒田伊織との付き合いの中で、そんな事実を徐々に受け入れていった...
彼女は黒田伊織の首に腕を回し、尋ねた。「紬を密かに探してもらってるけど、進展はどう?」
黒田伊織は動じることなく、しばらく抱きしめた後で笑いながら言った。「見つからないんだ。君も知ってるだろう?僕が女性を探す能力は、君に関することだけは特別なんだ」
「冗談言わないで、紬のことすごく心配してるんだから!」
夏川澄花は彼の反応に少し不機嫌になり、眉をひそめた。
黒田伊織は彼女の感情の機微を掴むのも、徐々に上手くなってきていた。今この瞬間も、夏川澄花が求めているのは間違いなく真摯な説明だということを。
そのため、彼は真面目な口調で話し始めた。「冗談を言っているわけじゃない。本当に見つからないんだ。この街から出て行くための交通機関を利用した形跡が全くない。もし僕の推測が正しければ、彼女はまだこの市内にいるはずだ」
「でも、行きそうな場所は全部探したのに見つからないの。そんなに冷たく、私にも言わずに行くなんて?違うわ、紬はそんな人じゃない」
夏川澄花は考えれば考えるほど、あり得ないと感じた。
彼女の思考もそれによって乱され、必死に考えを巡らせた。
様々な可能性を考えたが、全く見当がつかなかった。
「もう探すのは止めたら?蘇我紬はメッセージを残していったじゃないか。今は誰にも邪魔されたくないんだろう。無理して探すより、向こうから連絡してくるのを待った方がいい」と黒田伊織は淡々と言った。
夏川澄花は口を尖らせ、不満げに言った。「あなたの親友じゃないから心配じゃないのね。会議に戻ってよ」
そう言って夏川澄花は彼の膝から降り、頬を膨らませて、明らかに怒っている様子だった。
彼女が先に歩き出すと、後ろからため息が聞こえた。黒田伊織が立ち上がり、彼女の後を追ってきたのだ。彼は焦ることなく、ゆっくりと彼女の後ろをついて歩いた。
夏川澄花が寝室に行くと、黒田伊織は彼女の視界に入る位置に立っていた。