257 奔走する夏川澄花

夏川澄花は本当に行き詰まってしまい、最後に黒田伊織を訪ねることにした。

その時、黒田伊織は別荘の書斎で日向ぼっこをしながら、ソファーにだらしなく寄りかかって、目を細めて会議に参加し、真面目な報告を聞きながら、時々相槌を打っていた。

夏川澄花は彼が忙しいのを見て、邪魔をせずに書斎のソファーに座り、スマートフォンを取り出して調べ物を始めた。

彼女は自分のマネージャーに信頼できるパパラッチを探してもらい、蘇我紬のその日の行動を調査してもらった。

結局、パパラッチは何も見つけられなかった。

夏川澄花がもう少し頑張ろうとしたところ、マネージャーの林空に散々叱られてしまった。

「澄花!私が暇だと思ってるの?今一番忙しいのはあなたの尻拭いよ、分かってる?あなたの後ろには黒田伊織がいるのよ。どれだけの人があなたにオファーを出してきてるか分かってる?それも全部大手のCMで、誠意を持って来てくれてるのに、そういうのほど断りづらいでしょう!」

林空は滔々と話し続け、文句を言い続けた。

どの一言を取り上げても夏川澄花の背筋が凍るほどだった。

夏川澄花は力なく返した。「これは本当に私のせいじゃないわ。私だって仕事したいのに。」

彼女がそう言い終わると、ずっとパソコンを見ていた黒田伊織が目を上げ、夏川澄花に意味深な視線を送った。

しかし彼は何も言わず、目の前の仕事に戻り、報告を聞き続けた。

電話の向こうで林空は天を仰ぐような声で言った。「あなたの旦那様を説得できないの?これは苦労じゃなくて、名を上げるチャンスよ!分かる?」

林空はこれらを言い疲れていた。

彼女は一息ついて、深い恨みを持つような表情を浮かべた。

夏川澄花は鼻を擦りながら、賢明に話題を変えた。「もう一度調べてもらうことはできない?」

「無理よ。あなたの親友が気になるのは分かるけど、彼女は芸能人じゃないし、ファンもいないし、会社もないでしょう。はっきり言えば、あなたの親友はお金持ちの奥様よ。お金持ちの行動をパパラッチが追えるわけないでしょう。パパラッチには情報提供者が必要だし、そのタレントのことをよく知っていないと張り込みもできない。それか、セレブが集まる場所での偶然の遭遇くらい。これは警察に頼むべきことで、パパラッチの仕事じゃないわ。」