影山瑛志に連絡を取れば、彼の能力からすれば、何か問題に気付くのは当然のことだろう。
白川蓮はそれを利用して逃げ出そうとしていた。
しかし夏川澄花の一言で彼女は奈落の底へと突き落とされた…
「夏川澄花さん、影山瑛志がこのことを知っているということですか?」
白川蓮は一瞬動揺し、動悸で全身が緊張で震え、心臓は激しく鼓動を打ち、腕の痛みさえ忘れてしまった。
頭の中でその言葉が何度も響き渡る。
彼女は取り憑かれたように目を落ち着きなく動かし、口を半開きにしたまま、パニック状態に陥っていた。
夏川澄花は蘇我紬に目配せをした。
この状況でどう対応すべきか分からないという意思表示だった。
暴露するかしないかは、蘇我紬に決めさせるべきだと。
蘇我紬は首を横に振った。
夏川澄花はそれを理解し、「そんなつもりはないわ。そう思うのはあなたの勝手でしょう」と言った。