270 解毒薬を手に入れる

夏川澄花の言葉は軽く投げかけられた。

しかし、白川蓮に与えた威圧感は十分なものだった。仮面をつけたその男が動き出した。

いつの間にか手に持っていたナイフを手の中で回しながら、悠然とこちらへ歩いてきた。

白川蓮は息が詰まるほど緊張し、歯を食いしばって、その男を睨みつけながら、激怒して叫んだ。「夏川澄花!あなた狂ったの?自分が何を言っているのかわかってるの!」

「私はあなたと違って、もちろん言ったことはわかっています。どう?この程度の罰でもう耐えられないの?」夏川澄花は軽く嘲笑い、軽蔑の色を隠さなかった。

白川蓮は目の前でその男が、夏川澄花の意図を再確認することもなく、彼女の肩にナイフを振り下ろすのを見つめるしかなかった。刃を下向きにし、一撃で血が流れ出した。

肩から激痛が絶え間なく押し寄せ、白川蓮は悲痛な叫び声を上げた。男がナイフを前後に擦り、肉を切り裂く力を少しずつ強めていったからだ。