パートナー

しばらくして、蘇我紬はようやく視線を戻した。「瑛志、私はあなたを信じていなかったわけじゃないの。ただ、期待が大きければ大きいほど、失望も大きくなるだけ……今の私は十分幸せよ」

影山瑛志は一瞬固まった。つまり、彼がいなくても大丈夫だということか?

「ごめん、紬」影山瑛志は低い声で謝った。「白川蓮がこんな風になるとは思わなかった。目的のためなら手段を選ばないなんて。この件を片付けたら、家に迎えに行ってもいい?」

影山瑛志は可能な限り姿勢を低くし、目には懇願の色が浮かんでいた。

蘇我紬は少し戸惑った。彼女は影山瑛志のこんな姿を見たことがなかった。あの二年間の契約結婚の間でさえ、彼が頭を下げることは一度もなかった。思わず心が揺らいだ。

「そんな風にしないで」蘇我紬はため息をついた。「しばらく戻らないだけよ。そんなに心配しないで」

影山瑛志はその言葉を聞いて喜び、胸に詰まっていた息が少し楽になったような気がした。「じゃあ、そう決まりだね、紬。数日後に迎えに行くよ」

「その時になってからね」

蘇我紬はまだ影山瑛志を信じる勇気が持てなかった。結局のところ、白川蓮がいる限り、彼女と影山瑛志の間には永遠に距離があるのだから。

それに、影山瑛志は間接的に彼らの子供を死なせてしまったのだ。

蘇我紬はもう影山瑛志と一緒に歩む気持ちはなかった。

影山瑛志は病院にはそれほど長く滞在せず、会社に戻るつもりだったが、途中で白川蓮のところへ向かった。

白川蓮が電子機器を取り上げられてから何日目かわからない。外の情報を知る術もなく、ドアの前には二人のボディーガードが立っているだけで、影山瑛志の命令なしには彼女と話すことさえできなかった。

白川蓮は焦りを感じていた。

あの人たちがどうなったのかも分からない。

影山瑛志が来るのを見て、白川蓮は初めて動揺し始めた。

「瑛志、私たちの子供は……」

この子供は白川蓮にとって最大の切り札だった。きっと影山瑛志も子供のことを考えれば、彼女に対して心を開いてくれるはずだと。

しかし影山瑛志は彼女をちらりと見ただけで、ドアの前に立ったまま中に入る様子もなく、「お前の妊婦健診の結果を見たが、胎児はまだ二週間。今でも一ヶ月に満たない。つまり、俺の子供じゃない」と言った。