電話はすぐに繋がり、蘇我紬の心臓はドキドキと鳴り止まなかった。「瑛志、今夜時間ある?早く帰ってこれない?」
「今日は会社もそれほど忙しくないよ」影山瑛志の声は水のように優しく、すぐに声を落として冗談めかして尋ねた。「僕に会いたくなった?今すぐ帰ることもできるよ。他の仕事は早乙女燐に任せられるし」
「じゃあ、大丈夫。仕事が終わったら早めに帰ってきて。直接伝えたい良い知らせがあるの。とても重要なことなの」蘇我紬は「重要」という言葉を強調した。
「わかった」
短い通話の後、蘇我紬は興奮した表情でベッドの上で携帯を抱きながら転がり、影山瑛志が聞いたらどんな反応をするか想像していた。
影山瑛志が帰宅するまで、蘇我紬の心臓は激しく鳴り続けていた。今はとても緊張していて、この驚きを影山瑛志に伝えられることを考えながらも、どう伝えるべきか悩んでいた。
しかし、影山瑛志に会った途端、蘇我紬が口を開く前に、影山瑛志の熱い口づけが降り注いだ。唇に、頬に、そして首筋に。
影山瑛志の手も休まることなく、腰から服の中に入り、軽々とボタンを外し、胸の柔らかな膨らみを掴んだ。
影山瑛志が覆い被さってきた。
その瞬間、蘇我紬の目は少し潤んでいたが、影山瑛志が何をしようとしているのか気づいた時、残されていたわずかな理性が彼女を引き戻した。
蘇我紬は影山瑛志の次の動きを止めた。「瑛志、今日はダメ」
影山瑛志は蘇我紬を強制せず、動きを止めて下の蘇我紬を見つめながら尋ねた。「どうしたの?珍しく電話をくれて早く帰ってきてって言うから、てっきり...」
蘇我紬の顔は一瞬で真っ赤になった。影山瑛志が何を言おうとしているのかわかっていたが、誰がそんなことばかり考えているというの?
蘇我紬は慌てて首を振った。「違うの、瑛志。私、妊娠したの。医者によると、もう一ヶ月になるって。この期間はダメなの」
影山瑛志は凍りついた。
彼は素早くベッドの端に座った。
どうしてだろう?
蘇我紬がどうして妊娠できるんだろう?
一ヶ月。
どうしてこんなにタイミングが...?
おかしい。
蘇我紬は妊娠の喜びに浸っていて、影山瑛志もこのニュースを聞いて反応を忘れているのだと思っていた。