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蘇我紬は翌朝まで眠り続けた。

目が覚めた時、影山瑛志は既に病院を去っていたが、早乙女燐を残していった。

「若奥様、影山若様は会社に行かれました。私に病院からお家までお送りするようにと仰せつかっております。」

「わかりました。」

蘇我紬は簡単に身支度を整え、医師から大丈夫だと確認された後、荷物をまとめて退院した。

早乙女燐は自ら荷物を持ってトランクへ運んだ。

蘇我紬は退院したので、夏川澄花と新條結月に無事を知らせなければと思った。

車に乗る前にバッグの中で携帯を探したが、見つからなかった。「早乙女さん、携帯が病室に置き忘れたかもしれません。ここで待っていてください。取りに行ってきます。」

早乙女燐は頷き、車を路肩に停めた。

蘇我紬が再び病院から出てきた時、夏川澄花と新條結月に無事を伝え終わったところで、顔を上げると数人に行く手を阻まれた。「蘇我さん、私どもの奥様がお呼びです。」

蘇我紬は眉をひそめ、その数人を避けようとした。「あなたたちの言う『奥様』なんて存じません。どいてください。」

しかし蘇我紬がどちらに進もうとしても、必ず誰かが行く手を阻んだ。「蘇我さん、私どもの奥様はただお話がしたいだけなのです。」

蘇我紬は追い詰められて焦り、「だから私は……」

言葉が終わらないうちに、突然後頭部に痛みを感じ、そして意識を失った。

早乙女燐は路肩で長い間待っても蘇我紬が戻って来ないので、心配になり始め、何度も時計を見た後、車を降りて病院へ蘇我紬を探しに行った。

しかし全ての医療スタッフに聞いても、蘇我紬は既に病院を出たと言われた。

早乙女燐は蘇我紬に何か起きたのではないかと心配になり、急いで影山瑛志に電話をかけた。

影山瑛志は知らせを受けると、落ち着いていられなくなった。

蘇我紬が目を覚ましたのは、豪華で洗練された応接室のソファの上だった。

後頭部をさすりながら立ち上がって部屋を出ようとした時、一人の女性が向かってきた。

蘇我紬は眉をひそめた。気を失う前に、あの数人が何かの奥様に会いたいと言っていたのを思い出した。

彼らの言う奥様とは、おそらく目の前のこの人物なのだろう。

しかし蘇我紬は目の前のこの女性を本当に知らなかった。眉をひそめて尋ねた。「あなたは、どなたですか?」