361 篠原澄佳の謝罪

影山瑛志は冷たい目で白川蓮を見つめ、「白川さん、私たちはそこまで親しい間柄ではありません。呼び方には気をつけてください」

影山瑛志の言葉は冷水を浴びせられたようで、白川蓮は氷の穴に落ちたような気分になった。

「瑛志……影山さん、私を出してくれるために来たの？」白川蓮はまだ一縷の望みを持ち、笑みを浮かべた。「前から言ってたでしょう。あなたは自ら進んで私を出してくれるって」

白川蓮はまだ事態の深刻さを理解していないようで、自分の言葉を信じ続けていた。

影山瑛志は眉をひそめ、尋ねた。「何を根拠に私があなたを出すと思ったんですか？出して紬をさらに苦しめるためですか？」

白川蓮は一瞬固まった。これは予想していた反応ではなかった。確かに最後の切り札を篠原澄佳に渡し、蘇我紬に林与一との結婚を強要させたはずなのに。

まさか……

白川蓮は目をきょろきょろさせ、すぐに何かを悟ったようで、顔が歪んだ。篠原澄佳を指差して叫んだ。「あなた、バカなだけじゃなく役立たずね！蘇我紬一人すら始末できないなんて、息子の幸せなんて考える資格ないわ！この役立たず！」

蘇我紬はその言葉を聞いて、何となく察した。

彼女は影山瑛志のあの質問の意図を理解していた。それは白川蓮に最後の切り札を自白させるための餌に過ぎなかった。

もしかして篠原澄佳が見せたあの動画が？

白川蓮の計算は見事だったし、篠原澄佳も確かに行動に移していた。

篠原澄佳は今、だいぶ落ち着いていた。影山瑛志を見つめ、その目には限りない後悔の色が浮かんでいた。結局、人に騙されて間違いを犯してしまったのだ。

篠原澄佳は白川蓮を冷ややかに見つめ、「あなたなんかに何ができるの？私の息子のことにあなたが口を出す資格なんてないわ！あなたが与一と蘇我さんが両思いだって教えてくれた時は本当に親切心からだと思ったわ。影山若様が横やりを入れたなんて。全部あなたの私欲を満たすためだったのね。今大変なことになったのも、誰のせいでもないわ！」

篠原澄佳の突然の呼び方の変化に、影山瑛志と蘇我紬は同時に驚いた。

林与一でさえ、篠原澄佳がこんな言葉を発するとは思わなかった。

三人は揃って篠原澄佳を不思議そうに見つめた。