もちろん、警察署に行くのは影山瑛志が予約を手配してくれたのだ。
林与一が篠原澄佳を連れて警察署に着いた時、影山瑛志と蘇我紬も既にいた。
篠原澄佳は蘇我紬を見るなり、思わず林与一の後ろに隠れるように身を寄せた。
彼女はまだ蘇我紬にどう接すればいいのか分からなかった。
もし本当に利用されていたのなら。
蘇我紬はそんなことは気にしていなかったが、篠原澄佳に対する印象は確かに良くなかったため、ただ淡々と篠原澄佳を一瞥しただけで、顔を影山瑛志の方に向けて話し始めた。
「あの録音、警察に渡した方がいいんじゃない?」蘇我紬はバッグからUSBメモリを取り出した。
来る前に、蘇我紬は携帯の録音データをUSBメモリに移しておき、いつでも警察に渡せるようにしていた。
影山瑛志は蘇我紬のUSBメモリを持つ手を握り、人目につかないように包み込んで、小声で言った。「急がなくていい。白川蓮はあの日、俺に自分から出てくることを望ませると言っていた。他にも何か持っていて、お前に不利なものがあるかもしれないと心配なんだ。」