359 駒として

しかし白川蓮は今、完全に自分の世界に浸っており、絶えず首を振って否定していた。「嘘なはずがない!絶対に!」

どうして嘘なんかあり得るだろうか?

彼は自分に何度も本当だと約束したのに。

白川蓮は崩壊したように頭を抱えた。

……

篠原澄佳は相手が帰国して会いたいと知った時、内心不安になった。

しかし数日経っても、送ったメッセージは石を水に投げ入れたかのように、まったく返信がなかった。

篠原澄佳はそのチャットの履歴を見つめながら、心が恐怖で満ちていた。

何を恐れているのか?

彼が訪ねてきて、協力を求め、また蘇我紬を害そうとすることを?

でも今回は彼女はもう手を出す勇気がなかった。

彼女の動画はまだ久世澪のあの女の手の中にあるのだから。

動画が流出したら、もう生きていけない。