365 動画声明

蘇我紬は篠原澄佳が目覚めたというニュースを聞いて、ほっと胸を撫で下ろした。

篠原澄佳が目を覚ましたなら、林与一の性格からして、久世澪と影山瑛志をあまり追い詰めることはないだろう。

しかし、その後の展開は彼らの予想を完全に裏切るものだった。

蘇我紬と林与一のさらに刺激的なホテルの動画が、匿名ユーザーによってネットに投稿された。動画は全編モザイク無しで、顔がはっきりと確認できた。

先に影山瑛志は、動画の中の女性を見つけてから、すべてを明らかにすると言っていた。

しかし、この動画が投稿されると、蘇我紬に関する情報が再び話題になった。

「影山瑛志の婚約者が林氏の御曹司・林与一とホテルで密会！」

「蘇我紬が妊娠、子供の父親は謎！」

瞬く間に、SNSのトレンドは彼らに関する話題で埋め尽くされた。

このニュースの影響で、影山グループの株価は下落の一途を辿った。

すぐに株価は過去最安値を更新し、取引開始から30分も経たないうちにストップ安となった。

蘇我紬は朝目覚めると、無意識にスマートフォンに手を伸ばした。画面を開くと、トレンド入りしたニュースが目に飛び込んできて、彼女はすぐにベッドから飛び起き、急いで情報をスクロールした。

そのとき、影山瑛志が部屋に入ってきて、スマートフォンを見ている蘇我紬を見つけると、優しく彼女の額にキスをした。「起きたの？朝食を食べて、どこかへ連れて行きたいんだけど、いいかな？」

「瑛志、ネットの噂は...どういうこと？」蘇我紬は画面を影山瑛志の方に向けた。

影山瑛志は画面を見ることなく、蘇我紬が何を聞きたいのか分かっていた。少し躊躇してから答えた。「数日前に篠原澄佳が持っていた動画が、なぜか再び出回っているんだ。今回も匿名で投稿されて、今ではネット上で多くの人が見ている。事態は急速に広がっている」

「...」蘇我紬は黙り込んだ。

しばらくして、やっと気持ちを落ち着かせた蘇我紬は、唇を震わせながら涙声で言った。「だから...私を送り出そうとしたの？私に知られたくなかったから？」

影山瑛志は頷いたり首を振ったりしながら、蘇我紬の様子を見て心が痛み、申し訳なさを感じた。「そうだけど、違うんだ。今、君は妊娠しているから、君の気持ちに影響が出ないように送り出して、少しリラックスしてもらいたかったんだ」