373 警察の発表

久世澪は二階から二人を見つめ、笑顔を絶やさず、使用人たちにここを離れるよう指示し、二人のために空間を作った。

蘇我紬は自分でも思いがけなかった。数時間前に会ったばかりなのに、もう影山瑛志が恋しくてたまらなかった。

影山瑛志の馴染みのある香りを嗅ぐと、蘇我紬の心臓はドキドキと激しく鼓動した。

二人は強く抱き合った。

しばらくして、影山瑛志は蘇我紬を放し、彼女の腰に手を回して二階へ向かった。「見せたいものがある」

「何?」蘇我紬は影山瑛志の手に何も持っていないのを見て、もしかして事前に用意してあるのかと思った。

「とても大切なものだ」

二人が部屋に着くと、影山瑛志はパソコンを取り出して開き、椅子に座ると蘇我紬を抱き上げて自分の膝の上に座らせた。

蘇我紬はおぼろげに何かを予感していたが、画面に「警察発表」という文字を見て、それでも衝撃を受けた。

それは他でもない、警察が以前国外に逃亡した犯罪グループを摘発したという内容で、その中には見覚えのある顔が何人もいた。

橘健一や、白川蓮が自作自演した時の傷跡のある男もいた。

動画の中で、彼らは次々と自分の罪を認めたが、白川蓮だけは最後まで認めず、全員の中で最も重い刑を言い渡された。

動画は短かったが、内容は核心を突いており、ホテルの映像の出所や真偽、さらにはホテルの映像に映っていた女性についても説明されていた。

その女性は彼らから高利貸しを借りたものの、返済できずに彼らの要求を受け入れたのだった。

この発表が出ると、以前蘇我紬を侮辱していたネットユーザーたちが次々と謝罪した。

ネット上では多くのユーザーが蘇我紬と影山瑛志の愛を羨ましがり、まるで本物のような偽の映像に対しても互いを信じ、共に証拠を見つけて潔白を証明したことを称賛した。

影山瑛志の会社の株価も瞬く間に上昇し、すぐに値幅制限に達した。

しかし蘇我紬にとって、これらはすべて最高のニュースだった。

すべての内容を見終えた時、蘇我紬はもう我慢できずに目を潤ませ、涙を流しながら後ろの男性にしがみついた。

落ち着きを取り戻すと、蘇我紬は笑顔を見せた。その笑顔には、喜びと興奮と感動が込められていた。

「ありがとう、瑛志」

この時こそ、彼女は本当に潔白を証明されたのだった。