367 互いに疑う

林与一は今、篠原澄佳の病室の外で見張っていた。彼は血の気のない澄佳の顔を見つめながら言った。「影山さん、あなたの言うことはもっともだと認めます。でも、あの動画は久世奥様が撮ったものです。母に渡したとしても、母が自分から公開するはずがありません。他に誰が動画を公開したのか、私にはもう想像もつきません」

影山瑛志は眉間を揉みながら、眉をずっと寄せたままだった。

彼はこの説明が説得力に欠けることを知っていたが、ただ林与一に蘇我紬を傷つけないでほしかった。

「でも林与一、復讐するなら私に向けてくれ。なぜ動画を公開して彼女を傷つけるんだ?」

林与一はその言葉に一瞬戸惑った。

彼もネット上のニュースと動画を見ていて、ネットユーザーの蘇我紬への攻撃を見るのは心が痛かった。

しかし、実際には篠原澄佳のために正義を取り戻す方法を考えていなかった。ただ影山瑛志から合理的な説明と謝罪を得たいだけだった。そのホテルの動画は自分も持っていないのに、どうやってアップロードできるというのか?

「影山さん、もし私を信じていただけるなら、はっきりと申し上げますが、私にはそのホテルの動画はありません。母は病院で回復中で、このことに関わる余裕などありません」

影山瑛志は「……?」

電話を切った後、影山瑛志は深い思考に沈んだ。

林与一は自分と久世澪が篠原澄佳の動画を公開したと疑い、自分は林与一が蘇我紬の動画を公開したと疑っている……

お互いを疑い合っている?

……

夏川澄花の付き添いのおかげで、蘇我紬の気持ちは少し落ち着いていた。

ただし、夏川澄花は厳しく、携帯電話を見ることを許さなかった。電子機器の放射が赤ちゃんによくないという名目で。

実際、彼女自身も携帯電話を開く勇気がなかった。ネットユーザーの罵詈雑言がどれほどひどいものか、想像するまでもなかった。

しかし、彼女の気持ちは矛盾していた。怖いと思いながらも、常に好奇心があり、見たいと思っていた。

三日目になって、彼女と夏川澄花は二人でベランダに座って夕焼けを眺めていた。

その間、夏川澄花がトイレに行きたくなった。

蘇我紬はその機会を捉え、葛藤と躊躇の末、携帯電話を開いた。

予想通り、やはり下品な言葉ばかりだった。