「そんなのダメよ」蘇我紬は笑って言った。「妊娠中とはいえ、そこまで脆弱になってるわけじゃないわ。それに赤ちゃんたちはもう三ヶ月を過ぎたから、そんなに神経質になる必要もないでしょう」
それに、スイーツショップは三人で始めたものだから、彼女だけが何もしないわけにはいかなかった。
ところが、夏川澄花と新條結月が左右から蘇我紬の肩を押さえて座らせ、新條結月が言った。「私たちの言うことを聞いてよ!もう毎日この仕事のリズムに慣れてるから、私たちにとってはそんなに大変じゃないの」
説得が効果なしと分かり、蘇我紬は仕方なく「分かったわ。じゃあ私は後ろで新商品の研究をして、あなたたちが売るってことで」と言った。
夏川澄花と新條結月はそれを聞いて、やっと満足そうに頷いた。
突然、蘇我紬は頭を叩いて、後になって気づいたように「あっ、この忙しさで忘れてたけど、今日は妊婦健診の日だったわ。すっかり忘れてた」
夏川澄花と新條結月は驚いて、夏川澄花が「紬、今日は店を休みにして、私たちが病院に付き添うのはどう?それとも、瑛志さんに電話して迎えに来てもらう?」と尋ねた。
蘇我紬は笑って断った。「大丈夫よ、澄花。瑛志は最近ずっと江口お爺様の葬儀のことで忙しくて、会社のことも手が回ってないはずだから、今頃は会社で大変なことになってるはず。迷惑はかけたくないわ。あなたたちも最近忙しいでしょう。私一人で行けるから、心配しないで」
「でもあなたの状態じゃ心配でしょうがないわ」夏川澄花は心配そうな顔をした。
蘇我紬は安心させるように夏川澄花の手を取って軽く叩いた。「大丈夫よ、一人で行くのは初めてじゃないし、私を信じて」
結局、夏川澄花と新條結月は店を休みにして、蘇我紬の妊婦健診に付き添うことにした。
健診はスムーズに進み、赤ちゃんたちも健康で、蘇我紬はお腹を撫でながら、ますます期待に胸を膨らませた。
その夜、家に帰ると影山瑛志も帰宅し、蘇我紬が健診結果を伝えると、影山瑛志は少し呆然として「今日健診だったのに、なぜ私に言ってくれなかったの?こういう時は私が側にいるべきだったのに」