417 交通事故に遭う

陣痛がまだ続いており、話し終えると、蘇我紬はもう余計な力が残っておらず、後部座席に弱々しく寄りかかっていた。

早乙女燐はその様子を見て、すぐに運転手に命じた。「最速で病院へ!信号なんか気にせず、とにかく病院を優先!」

「はい。」

運転手はアクセルを踏み込み、街路を突っ切った。

車のスピードは上がり、病院も近づいてきたが、そのとき「まずい、右から車が来ます、早く……」

運転手の言葉が終わらないうちに、反対側から来た乗用車が蘇我紬の乗った車と衝突した。

瞬時に天地がひっくり返り、車は横転した。

蘇我紬は後部座席から転げ落ちそうになったが、本能的にお腹を抱え込んだ。早乙女燐が間一髪で彼女を支えたものの、足を捻ってしまい、骨折の痛みが全身を走り、意識が朦朧としてきた。

早乙女燐も無事ではなく、額に傷を負って出血していた。

「親分、こんな大事故なら、あの女とその子種は間違いなく死にますよ」若い声が響いた。

「確実に見届けたのか?」別の荒々しい声が続いて現れた。「白川蓮のクズめ、女一人監視できないで、結局俺たちが手を下すことになるとはな」

「この様子じゃ、車はもうすぐ爆発します。中の連中は意識もうろうで自力脱出できません。ご心配なく」

「ああ、あの女は影山グループの影山瑛志の愛する女だそうだ。あいつを消せば、影山瑛志も扱いやすくなるだろう」

……

声は次第に遠ざかり、蘇我紬は朦朧とした目を擦りながら、少しでも意識を保とうと頭を振った。

会話は否が応でも耳に入ってきた。

話の内容からすると、白川蓮の背後にはもっと手強い人物がいて、彼女の命を狙っているだけでなく、影山グループを潰そうとしているようだった。

しかし、影山グループがどんな敵を作ったのか思い出せない。

一体誰が、影山グループを狙っているのか?

陣痛は絶え間なく、今の痛みで蘇我紬は深く考える余裕がなかった。

病院はもう目と鼻の先だった。

今度こそ、羊水が流れているのがはっきりと分かった。一旦流れ切ってしまえば、取り返しのつかないことになる。

早乙女燐もゆっくりと意識を取り戻した。確かに先ほどの衝撃で影響は受けたものの、幸い気を失うことはなかった。目覚めた最初の行動は蘇我紬の状態を確認することだった。