「これは私の名刺です。電話番号が書いてありますから、どこで食事をご馳走するか決まったら、電話してください」藤原親父は名刺を差し出した。
時田浅子は礼儀正しく受け取ったが、詳しく見ることはなかった。
「この時田浅子って、どんな体質なの?男性が彼女を見ると、その場から動けなくなるの?」
「そうよね、さっきの若い男性はとても優秀そうだったし、見知らぬ老人でさえ彼女のために立ち上がるなんて!」
「すごいわね、すごい、老いも若きも虜にするなんて!」
時田浅子はこれらの耳を疑うような噂話を聞きながら、顔が少し引きつった。
しかし、目の前のおじいさんは、彼らが思っているような人ではなかった。
年は取っていても、清々しく、正義感に溢れていた。
彼女は思わず、すでに亡くなった祖父を思い出した。