「ママ!何してるの?」宮本凪は大声で問いただした。
「何してるって?あの子がどんな人か知ってるの?ネットのニュース見てみなさい!」宮本奥様は携帯を宮本凪の胸に投げつけた。
そして振り返って時田浅子を見た。
「時田浅子、あなたの欲深さはともかく、もう結婚したんだから、うちの宮本凪を誘惑するのはやめなさい!それとも、あなたが嫁いだ相手は植物人間だから、寂しくて我慢できなくて、また宮本凪に手を出そうとしてるの?」
この騒ぎはカフェの他の客の注目を集めた。
皆が立ち上がり、こちらを見ていた。
宮本奥様の詰問は、はっきりと聞こえていた。
時田浅子だと気づいた人もいた。
「あの女の子が時田浅子?今朝彼女の動画を見たばかりだよ!」
「そう、彼女だよ。私も見たわ!」
「彼女は植物人間と結婚したの?」
「こんなことまであるなんて!前はネットで噂を聞くだけだったけど、今は現場で一次情報のゴシップを聞けるなんて!」
時田浅子は顔の水を拭き取り、宮本奥様を見つめた。
「宮本奥様、発言には法的責任が伴いますよ!」
「法律で私を脅すつもり?あなたがなぜ植物人間と結婚したのか知らないと思ってるの?たった50万円のために自分を売ったのよ!時田浅子、あなたは植物人間とさえ結婚する気になるなんて、生きた死人と結婚しても他の男を誘惑するのに影響ないと思ってるんでしょ?」
時田浅子はグラスを取り、宮本奥様の顔に水をかけた。
宮本奥様は3秒間呆然とした。
「あなた!」彼女は怒りで言葉が出なかった。時田浅子が彼女に水をかけるなんて思いもよらなかった。
彼女は手を上げて時田浅子に向かって振り下ろした。
平手打ちが時田浅子の顔に当たる寸前。
一つの手が宮本奥様の手首をしっかりと掴んだ!
宮本奥様が振り返ると、彼女を止めたのは60代くらいの老人だった。
しかし、この老人の握力は非常に強く、怒りを表さずとも威厳があった。
藤原親父は宮本奥様の手を離し、時田浅子の前に立ちはだかった。
その眼差しだけで、宮本奥様は心が震えた。
時田浅子もこの老人を見て、心に感謝の気持ちでいっぱいだった。